ウェグナー夫妻が愛した椅子、貴重な“チーク材”を限定生産
デンマークの巨匠 Hans J. Wegner(ハンス J.ウェグナー)がインガ夫人のために自宅ダイニング用として手掛けた「PP 701」。500以上製作されたウェグナーの作品の中でインガ夫人1番のお気に入りがこの椅子です。今回、自邸で使われていた「チーク材」仕様が世界50〜60本限定で生産されることとなりました。
自宅で使うダイニングチェアを探していたウェグナーが、イメージ通りのものに出会えず自らデザインをした椅子。元々は自邸用の6脚のみ制作していましたが、当時の工房Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)社からの要望を受け、製品化されました。1990年頃に廃業した後は、PP Mobler(PPモブラー)が製作を引き継いでいます。
自邸用は「チーク材」を使用していましたが、チーク材の入手難により他の材を使用して製作されています。PP モブラーが貴重なチーク材を入手できたことで、今回の限定生産が実現しました。
PP701の特徴は、背もたれと肘掛けを兼任する笠木。薄くスライスした4つの材を寄木にして、中央部に十字型の契りで結んだものを削り出して作られています。無垢材の木目が合わない箇所が、美しいアクセントになっており、“隠せないなら美しく見せる”という、ウェグナーの理念が見事に表現されています。
正面から見ると、PP502やPP505など“ホーン系”と呼ばれる椅子に似ていますが、真上から見るとその違いがはっきりわかります。背もたれから肘掛けにかけて幅が広がり、三次曲線を用いた構造となっています。滑らかで有機的なデザインは、卓越した職人が丁寧に作っているからこそ。機械では表現しきれない繊細さと美しさを感じることができます。
デザインだけでなく、ダイニングチェアとして愛される理由は他にもあります。笠木は自然と食卓に腕が伸びるように、テーブルと同じ高さで設計されています。さらにスチール脚は軽やかで使い勝手が良く、まさに家族のために作られた椅子と言えます。
ウェグナー夫妻が永年愛したPP701。チーク材仕様は、数に限りがあり非常に貴重なモデルです。是非、ご自宅でその魅力を体感してください。