コラム > Vitraってなんだろう?

さて、Vitraってなんだろう?
スイスに拠点を置く家具ブランド Vitra(ヴィトラ)
イサム・ノグチの「コーヒーテーブル」や、ヴァーナー・パントンが手掛けた「パントンチェア」など、
どこかで一度は目にしたことがあるこれらの家具は、このVヴィトラから発信されています。
しかし「”Vitra”ってどんなブランド?」と聞かれると、一言で説明するのは難しい。
世界各国様々なデザイナーと協働し家具を製造していて、そのデザインも多岐に渡っています。
メーカーやブランドというより、ヴィトラの存在自体が「デザイン」と言っていいような不思議な魅力を持っているのです。
いったいヴィトラとは、どんなブランドなのでしょうか。
スイスとドイツの国境沿いヴァイルアムラインに位置する「Vitra Campus(ヴィトラキャンパス」への旅レポートと共に、
その魅力をご紹介いたします。
Vitra(ヴィトラ)のはじまり
みなさん、ヴィトラの歴史をご存知でしょうか?
1934年 店舗什器メーカーとして誕生したことがはじまりです。
1950年 社名変更時、フランス語でショーケースを意味する「Vitrine」が由来となり”Vitra”と名付けられました。
1953年 創業者ウィリー・フェバウムはニューヨークへ。この旅がヴィトラ)を大きく変えることとなるのです。
当時のニューヨークは経済発展がすさまじく、輝く街を駆け廻るなか、ウィリーの目に1脚の椅子が留まります。
それがイームズの赤いDCWでした。「この椅子をヨーロッパでも広めたい」という想いが沸き上がり、ただ一心にイームズ夫妻と交渉をつづけ、見事実現。1957年には、イームズ、イサム・ノグチ、ネルソン、ジラード製品をヨーロッパ、中東での製造販売権を取得しました。「イームズ夫妻との出会いがあったからこそ、今のヴィトラがある」と、後にウィリーが振り返るほどDCWとの出会いは彼に衝撃を与えたそうです。この1脚をきっかけに、ヴィトラは家具メーカーとして大きく発展していきました。
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発展のきっかけとなった赤いDCW(※写真は現行品です)
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チャールズ&レイ・イームズ夫妻
Vitra Campus(ヴィトラキャンパス)
ヴィトラキャンパスは、同社のオフィスや製造工場、ショールーム、美術館、カフェなどがある、建築とデザインの実験の場であり、非常にユニークな建築が集まる場所です。
事のはじまりは1981年です。当時の生産工場が大火災に遭い、ほぼ全てが焼失した直後のことでした。損害も大きく経営も厳しくなるなか、「半年以内の再開」が条件となる復旧事業のマスタープランを担当した建築家ニコラス・グリムショーが敷地内に大きなプレハブ建築をつくることを提案し、後にヴィトラキャンパスと呼ばれる建築群の第一号となる新工場が建設されました。
1989年にオープンしたVitra Design Museum(ヴィトラデザインミュージアム)は、家具のコレクションを収納するための建物として作られました。その後も、ザハ・ハディドやヘルツォーグ&ド・ムーロン、安藤忠雄、SANAAなど、世界で活躍する建築家の作品が集合する場所として建築ツアーも開催され、世界中の建築ファンが数多く訪れる名所として知られています。
それではヴィトラキャンパスをご紹介しながら、
建築を通してブランドがもつ「デザイン」の魅力をみなさまへお届けいたします。
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広大な敷地に世界中の建築家の作品が集合しているVitra Campus
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毎年恒例のイベントや、建築ツアーなどもあり、人気スポットとなっています。
Architecture
- 建築について -

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No.01
Vitra Haus
イエガタが積み重なった、その名の通り「ヴィトラの家」。家具・インテリアの視点からも建築の視点からも魅力的です。
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No.02
Dome
幾何学体のテント、Domeは1975年にCharter Industries社が制作したもの。現在はイベントや展示会の会場として使用されています。
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No.03
Vitra Design Museum
建築家フランク・ゲーリーが手掛けたデザインミュージアム。4,000点を越えるコレクションの保管や展覧会の開催など多岐にわたるデザイン活動が行われています。
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No.04
Fire Station
脱構築主義を代表する女性建築家 ザハ・ハティドが手掛けた消防署。彼女のプロジェクトがはじめて実現したのが、こちらのFire Stationでした。
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No.05
Conference Pavilion
安藤忠雄、初の海外作品となった会議室。大通りの桜並木が主役になることを考え、自然に対する配慮が随所に見られます。
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No.06
Petrol Station
ジャン・プルーヴェと弟のヘンリーによって1953年に設計されたガソリンスタンドです。ノックダウン式の構造で、1〜2名で組み立てることが可能になっています。
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\ NEW /
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No.07
Factory building
日本の建築家ユニットSANAA設計による生産工場。楕円の構造により、出荷トラックの旋回スペースを確保し物流面においても機能的なデザインになっています。