history ofVitra
知りたい、ヴィトラの7つのハナシ

ジャン・プルーヴェ、ヴァーナー・パントン、ジョージ・ネルソンなど、歴史的名作を生み出してきたデザイナーから、ジャスパー・モリソン、ロナン&エルワン・ブルレック、バーバー・オズガビーといった現代のデザインを担う気鋭のデザイナーまで、1950年の設立から現在まで数多くの作品を生み出し続けている家具ブランド「ヴィトラ」。
過去の名作はもちろん、近年発表された作品もデザイン賞を数多く受賞するなど、常に名作を更新し続けています。
そんなヴィトラの誕生から現在までの歴史を紐解き、その魅力を探っていきます。
History1
ヴィトラの誕生

ヴィトラは、創始者であるウィリー・フェルバウムが店舗什器の会社を引き継いたことから始まります。1950年に、スイスとドイツの国境沿いにあるヴァイル・アム・ラインに什器製造のための施設を設け、ドイツ語の「Vitrine(ヴィトリーン)」(英語で“展示のためのケース”という意味)から「Vitra(ヴィトラ)」という社名が誕生しました。当初は家具メーカーではなく什器製造の会社としてキャリアをスタートしています。
History2
イームズとの出会いから
家具メーカーへ転身

1953年、ウィリー・フェルバウムはニューヨークを訪れます。この旅が、後のヴィトラの歩みを大きく変えるきっかけとなりました。
経済発展の勢いに満ちたニューヨークの街で、ウィリーの目に留まったのは1脚の椅子。それは、チャールズ&レイ・イームズ夫妻がデザインした赤い「DCW(Dining Chair Wood)」でした。
その美しいフォルムと新しい構造に心を奪われたウィリーは、「この椅子をヨーロッパでも紹介したい」という強い想いに突き動かされ、すぐにイームズ夫妻へ連絡を取ります。
その想いは見事に実を結び、1957年にはイームズ夫妻をはじめ、イサム・ノグチ、ジョージ・ネルソン、アレキサンダー・ジラードといった著名デザイナーの製品を、ヨーロッパおよび中東で販売する権利を取得しました。
ウィリーは後に「イームズ夫妻との出会いがなければ、今のヴィトラは存在しなかった」と語っています。赤いDCWとの出会いは、ヴィトラを什器メーカーから世界的家具ブランドへと導く原点となったのです。-
ヴィトラを変えるきっかけとなった「DCW」
イームズ夫妻とウィリー・フェルバウム
History3
世界初の完全一体型の椅子
“パントンチェア”の開発

1967年、ヴィトラはデンマークのデザイナー、ヴァーナー・パントン(Verner Panton)がデザインした「パントンチェア」を発表しました。 世界で初めての完全一体成型によるプラスチックチェアとして注目を集め、この椅子はヴィトラにとっても初のオリジナル家具となりました。
パントンチェアの構想は1950年代後半にまでさかのぼります。
当時、パントンは“1枚の素材から成型できる椅子”を思い描いていましたが、その革新的なアイデアを実現できる製造メーカーは見つかりませんでした。
そんな中で名乗りを上げたのがヴィトラです。
両者は共同開発を進め、数年にわたる試行錯誤の末、冷圧したガラス繊維強化プラスチック(FRP)を用いた約150脚の試作品を完成させました。
その後も素材や成型技術の改良を重ねながら、最終的に1999年、現行仕様のパントンチェアの量産化に成功します。
10年以上の構想と数十年にわたる開発の末に誕生したこの椅子は、今なお世界中で愛されるモダンデザインの象徴となっています。-

History4
大惨事から生まれた、
ヴィトラキャンパス

1981年、ヴィトラの本拠地であるヴァイル・アム・ラインの生産施設が、大規模な火災に見舞われました。工場の大部分が焼失するという深刻な被害を受け、再建が急務となります。
この危機を前に、ウィリー・フェルバウムの息子であるライナー・フェルバウムと弟のロルフ・フェルバウムは、単なる再建ではなく、建築的な新しい方向性を打ち出す決断をします。
まず、建築家ニコラス・グリムショーに依頼し、工場の新たな建物を設計。敷地全体を見据えた再開発計画を立て、わずか数年のうちに4棟の建物を完成させました。
その後、フランク・O・ゲーリーとの出会いがヴィトラに新たな転機をもたらします。
ゲーリーの提案によって、敷地内の建物を一貫した様式で統一するのではなく、多様な建築家が個性を発揮する「コラージュ」のような構成へと発想を転換。
こうして、世界中の建築家が参加するユニークなプロジェクト「ヴィトラ・キャンパス」が誕生しました。

ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる「ヴィトラ・ハウス」

ザハ・ハティドによる「ファイヤーステーション」
その後もキャンパスは少しずつ拡張され、フランク・O・ゲーリーによる「ヴィトラ・デザイン・ミュージアム」をはじめ、安藤忠雄の静謐な「カンファレンス・パビリオン」、ザハ・ハディドのダイナミックな「ファイヤーステーション」、ヘルツォーク&ド・ムーロンによる「ヴィトラハウス」など、時代を代表する建築家たちが次々と作品を手がけていきました。
今日のヴィトラ・キャンパスは、単なる生産拠点ではなく、デザインと建築の文化を発信する場として世界中の人々を惹きつけています。
それは、火災という悲劇から生まれた、創造への再生の象徴でもあるのです。
History5
ジャン・プルーヴェ作品、
待望の復刻

1930年代のフランスで、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンらとともに活躍したデザイナー、ジャン・プルーヴェ。彼は金属加工の技術を活かし、独自の構造美を持つ家具を数多く手がけました。しかし、当時は製造技術が追いつかず、生産数が限られていたため、広く知られる存在ではありませんでした。
その後、1980年代になると、プルーヴェの家具がオークションや展覧会で紹介されるようになり、ファッション、アート、建築などの分野で再評価されるようになります。
ヴィトラも彼の作品に注目し、社内のミュージアムでコレクションとして収集していました。そして、限られた流通の中でしか入手できない状況を変えるため、2000年にプルーヴェ家と協議を重ね、作品の製造・販売権を獲得。2002年から正式にプルーヴェ作品の製造と販売を開始しました。
これまで美術館で展示されるだけだったプルーヴェの家具を、実際に家庭やオフィスで使えるようにしたヴィトラの功績は大きなものでした。-


History6
オフィスの哲学を生活空間へ
新たな名作の誕生

ヴィトラはこれまで、主にオフィス家具の製造・販売で成長してきました。しかし1990年代後半になると、テクノロジーの発展やライフスタイルの変化により、「家庭でも快適に働く」「オフィスでもゆったり過ごす」といった新しいニーズが生まれ、働く場所と暮らす場所の境界が曖昧になっていきます。
こうした流れを受け、ヴィトラはこれまでのオフィス中心の哲学を生活空間へと拡張することを決意。2004年には、家庭向け家具を展開する「ヴィトラ ホームコレクション」をスタートさせました。
このコレクションでは、家庭でもオフィスでも使える美しく機能的で長く愛用できる家具の提案を目指し、ジャスパー・モリソンやロナン&エルワン・ブルレックなど、現代を代表するデザイナーとともに数多くの作品を発表しています。
ヴィトラは単に名作の復刻や流通を行うだけでなく、現代における新しい名作家具の誕生にも積極的に取り組んでいます。
APC
designed by
Jasper Morrison
Belleville Armchair
designed by
Ronan & Erwan Bouroullec
HAL RE Tube
designed by
Jasper Morrison
Top Ton RE
designed by
Barber Osgerby
EVO-C
designed by
Jasper Morrison
Moca
designed by
Jasper Morrison
Mynt
designed by
Erwan Bouroullec
Cork Family
designed by
Jasper Morrison
Coat Dots
designed by
Hella Jongerius
Resting Cat
designed by
Front
O-Tidy
designed by
Michel Charlot
Nuage Metallique
designed by
Ronan&Erwan Bouroullec
History7
環境への取り組み

ヴィトラは、耐久性とデザインの両立を重視し、長く使い続けられる製品を開発しています。1980年代半ばからは、工場やオフィスでのエネルギー消費の削減や、自然エネルギーへの投資にも取り組んでいます。
製品に使用されるアルミニウムの約90%はリサイクル材で、革やコルクなどの原材料も、環境に配慮したヨーロッパのパートナー企業から調達され、水性ラッカー使用への転換も行っています。また、「Tip Ton RE」などの「RE」が付く製品には、ドイツの「イエローバッグ」プログラムで回収された再生プラスチックが使用され、既存製品の素材も再生資源へと置き換えられています。
また、バーバーオズカビーがデザインした「MIKADO」は、サスティナビリティであることを前提にデザインされています。使用しているパーツは簡単に変更、分解、分別でき構造になっており、長く使い続けることができるうえ、製品寿命を全うした後も分解してリサイクルすることも可能です。
さらに、ヴィトラは2030年までに、すべての製品の素材・部品の調達過程や環境への影響を透明化することを目指しています。これにより、消費者が製品の環境への影響を理解し、より持続可能な選択をできるようにしています。-


Eames Elephant RE
designed by
Charles&Ray Eames
Eames Elephant RE small
designed by
Charles&Ray Eames
Eames House Bird
designed by
Unknown
Eames Plywood Mobile
designed by
Jean Prouve
MIKADO Armchair
designed by
Barber Osgerby
Uten.Silo RE
designed by
Dorothee Becker
Happy Bin RE
designed by
Michel Charlot
Toolbox RE
designed by
Arik Levy
いかがでしょうか。
イームズ夫妻やジョージ・ネルソンの作品の販売から始まったヴィトラは、現在では自社オリジナルの名作も数多く生み出しています。ヴィトラのプロジェクトに終わりはなく、これからも進化を続け、私たちに新しい景色と体験を届けてくれることでしょう。
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