H.L.D. オンラインストア スタッフが、
毎月ひとつの名作=マスターピースに思いを馳せるコラムです。
肩の力を抜いて、普段のページではあまり書くことのないようなことを語ります。
仕事や家事のひと休憩や、帰宅中の電車の中、くつろぎの時間の合間など
是非、気軽にご覧ください。
第6回曲線美に心惹かれるランプ
ヴィルヘルム・ラウリッツェンがデンマーク放送局(ラジオハウス)の為にデザインした「VL45 ラジオハウスペンダント」。建物が王立音楽学校として建物が使われるようになった現在でも使用されている名作ランプです。
ラウリッツェンは「小さなディティールが大きな違いを生む」という信念のもと、建築のみならずラジオハウスペンダントに代表されるランプの他、ドアハンドル、コンセントといったものまで細部にこだわりデザインを行いました。また、「美学のない人生はない」という名言も残しており、この言葉からも美を追求しデザインを行っていた人物だということが伝わってきます。
私は、ディティールや美を追求した彼のデザインのなかでも特に「曲線」に心を惹かれます。ラジオハウスやコペンハーゲン空港のターミナルなど、手掛けた建築、図面をよく見てみると天井やホールの客席、螺旋階段など様々な場所に曲線が使用されており、そのどの曲線も独創的でありながら、景色や空間に調和し、本能的に心地よさを感じるからです。この曲線は彼の美への並々ならぬこだわりがあったからこそ生まれ、だからこそ現在まで在り続けるものなのだと思います。
そんな彼がデザインしたものの中でもこの「VL45 ラジオハウスペンダント」は、特にその美しさが際立ったものだと感じます。普遍的だけれども何物にも例えがたい、コロンとしたフォルムを形作る、独特かつ絶妙な曲線から成り立つシェード。昔から知っているかのような安心感を抱かせてくれ、ずっと眺めていても飽きの来ない不思議な力を秘めています。
また、シェード上部に施された真鍮の装飾は大きすぎず小さすぎない絶妙なバランスで、シェードの曲線の美しさを一層引き立てています。経年により変化していく色合いは、まるで一緒に年を重ねていくような気がして、なんだか嬉しくもあります。
この「ラジオハウスペンダント」は私にとって、ラウリッツェンの追求した美、情熱が凝縮されているような気がして、いくら眺めても飽きることなく、眺めれば眺めるほどその美しさの虜になる名作中の名作なのです。
(text:オンラインスタッフ Y)