月刊  「マスターピースとわたし」(20) - 必需品ではない、“必要なもの”/[すべて正規品]デザイナーズ家具・ブランド家具通販・北欧家具通販【H.L.D】

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H.L.D. オンラインストア スタッフが、
毎月ひとつの名作=マスターピースに思いを馳せるコラムです。
肩の力を抜いて、普段のページではあまり書くことのないようなことを語ります。

仕事や家事のひと休憩や、帰宅中の電車の中、くつろぎの時間の合間など
是非、気軽にご覧ください。

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第19回 必需品ではない、“必要なもの”

生活をするうえで、“必要なもの”と“必要ではないもの”が存在していて、主に“必要なもの”から購入したり、取り入れたり、誰かからもらったりしているかと思います。普段はそんなことをあまり気にしていないかもしれませんが、例えば旅行の時は、旅先での負担を減らすために最低限の“必要なもの”を選ぶことが多いのではないでしょうか。

また、実家を離れて一人暮らしを始めるときもそうですよね。でも、段々と“必要なもの”だけではなく、“必要ではないもの”も増えていきませんか?そして、引っ越しのたびに“必要ではないもの”を捨てていく。私も引っ越しを数回繰り返したので、要・不要の整理が得意になりました。

20歳の頃、1つのリュックに入る“必要なもの”だけで1年間過ごした事がありました。住むところや生活雑貨、家具はその場で借りることができるからこそですが、それ以外は最低限の“必要なもの”があれば十分困らないのだと気づきました。この気づきは、私の人生において大いなる発見であり、そういう生活が自分は好きなんだと思いました。私の実家はものが多く、その中で育った反動もあったのかもしれません。



…少々前置きが長くなり、申し訳ありません。
つまり、私はものが少ない生活が好きなのに、モノを販売する仕事に就いているのです。一見矛盾しているようにも思える状況ですが、それには理由があります。私が関わっているモノにひとつも“必要ない”ものはないと思っているからです。

モノには様々な工程を経て、人々に手に渡ります。多くの想いを乗せていればいるほど、歴史を重ね、今尚“ほしい”と思われている。そんなモノ達を私は販売しています。もちろん、生活するにあたって必需品ではないものも存在します。けれど、必要ではないけれど“いてほしい”と思えるものって、ありませんか?

私にとって、それはカイ・ボイスンのモンキーでした。



クリスマスの頃に2匹のモンキーミニを購入した時に、それぞれの顔を見比べてみました。同じ顔に見えますが、よく見ると表情が違うのです。私には2人の息子がいて、人からは“顔がそっくり”とよく言われますが、それぞれ表情が違います。そんな息子たちのようなモンキーを、天井からつるした飾り紐に引っ掛けて、遊んでいるように飾りました。その姿が目に入るたび「いいなぁ」「かわいいなぁ」と思います。

デザイナーのカイ・ボイスンは、元々は食料品店で見習いとして働いていましたが、銀細工に興味を持ち1906年にジョージ・ジェンセンの下で働き始め、やがて銀細工師としても世界中で知られるようになりました。そんな彼は、長男の誕生を機に子供向けのおもちゃに興味を持ち、1951年に「モンキー」を発表しました。子どもへの愛情が元となって生まれたという話も素敵です。それこそ想いを乗せてきたモノではないでしょうか?



決して、それがないと生きていけないわけではないけれど、そのモノをみて「いいなぁ」と思う時間もまた、生きている中での喜びや理由になるのではないかなと、私は思います。
価値観や考え方は人それぞれだと思いますが、その人にとっての“必要なもの”が届くといいなと思いながら、この仕事をしています。

あなたにとってはそれはどんなものでしょうか?

(text:オンラインスタッフ H)