ウェグナーが辿り着いた、最後のダイニングチェア
デンマークのデザイナー Hans J. Wegner(ハンス J. ウェグナー)が1987年に発表した「PP68」。これまで40年以上椅子を製作し、およそ400脚もの作品を発表してきたウェグナーが、人生最後に手掛けたダイニングチェアです。今までの経験がすべて詰まった“集大成”と言われており、“ラストダイニングチェア”という愛称で、長く愛され続けています。
ベースとなるモデルは、DFDSフェリー社の客船用の椅子としてデザインしたものでしたが、実際に採用されたのはPP208(現在のPP62)でした。
不採用となったモデルに改良を加え、PP62の背もたれとアーム、そしてPP505などに見られるウェグナーの名作チェアのフォルムを併せもったPP68として発表されました。
背もたれと肘掛けを併せもった笠木は、ウェグナー作品でも数多く見られましたが、背もたれ部分が広く作られているのでより支えやすくなっています。
肘掛け部分は短く作られているので、テーブル下に収納できるよう考えられています。
座面は紙を縒って作った「ペーパーコード」という素材を、職人の手によって手作業で丁寧に編みこんで作られています。快適な座り心地でありながら、耐久性にも優れています。さらに、年月の経過と共に木肌の表情や座面の色味に深みが増し、味わい深いものになっていきます。
ウェグナーがたどり着いた、最後のダイニングチェア。その魅力を是非ご自宅で体感してください。