ウェグナー自身も納得、無駄のない美しい傑作
デンマークデザインの巨匠、Hans J. Wegner(ハンス J. ウェグナー)が1949年に発表した「PP501」。ウェグナー自身も“初めて自分の良さが出た椅子”と称した作品で、フォルムの美しさ、座り心地の良さなど、あらゆる観点で完成度の高い椅子です。
“椅子の中の椅子”という敬意を込めて「The Chair(ザ・チェア)」という愛称で世界中が愛され続けています。
今でこそ世界的に有名な椅子となっているPP501ですが、発表当時はそのシンプルさゆえに評価はされませんでした。しかし、その10年後にアメリカ大統領選で、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンのテレビ討論会でこのチェアが使用されたことで、世界中で注目を集めることになりました。
この椅子では「フィンガージョイント」と呼ばれる技法を用いています。接合面積を多くするために木材をギザギザに加工し接合するもので、強度を保ちながら“見せる接合”としてデザインのアクセントにもなっています。この技法は後の作品にも使用されていることもあり、PP501はウェグナーの大きな転機となった椅子と言えます。
アニリンレザーを使用した座面は、長く使うほどに柔らかく、深みのある色に変化していきます。育てる楽しみもレザーの魅力のひとつです。
職人の卓越した技術による滑らかな質感と、包み込まれるような安心感。そして、どんなシーンにもなじむシンプルで飽きの来ない洗練されたデザイン。“ザ・チェア”という名に相応しい名作をぜひ体感してください。