愛妻家 ケアホルムによる“チューリップチェア”
デンマークのデザイナーPoul Kjærholm(ポール・ケアホルム)が1960年に発表した「PK9」。ケアホルムが自邸用にデザインしたチェアで、フルパディング仕様のシェルと3つのスプリングスチールを束ねた脚が印象的です。この独特なフォルムから「チューリップチェア」という愛称でも呼ばれています。発表当初はE. Kold Christensen(コル・クリステンセン)が製造していましたが、現在はFRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)が受け継いでいます。
座面のフォルムは、ケアホルムの妻ハンナが座った海岸の砂浜の跡からインスピレーションを得たものと言われています。その後のデザインの過程でも粘土にハンナが腰をかけて最も快適なかたちを追求するなど、ケアホルムの愛妻家ぶりが感じられるエピソードです。滑らかな曲線を描く座面は、ハンナだけでなくどんな人が座っても快適に使えます。
湾曲したスチールを組み合わせたベースは、腰をかけると程よくスプリングがあり身体への負担を軽減します。見た目だけでなく機能面も優れたチェアです。