Y字型のフォルムが美しい、アルネ・ヤコブセンの名作
デンマークを代表するデザイナー、Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)が1957年に発表した「GRAND PRIX CHAIR(グランプリチェア)」。デンマーク工芸博物館の展示会で初公開され、同年のミラノ・トリエンナーレにてグランプリを獲得したことから、この名前で呼ばれるようになりました。 「セブンチェア」「アントチェア」と並び、ヤコブセンの名作として世界中で愛され続けています。
発表した当時は、世界中で高く評価されたものの、成形の難しさと耐久性の問題によって数年で廃盤となってしまいました。技術的な進歩と生産工程の改良によって2008年に待望の復刻となりました。オリジナルのデザインはそのままに、脚部と座面のジョイント部を最新の技術で改良するなど、機能性と実用性を高めています。
グランプリチェアの魅力は、特徴的なY字型のフォルムと背と座の絶妙なバランスが生み出す造形美。ただ置いてあるだけ、オブジェのように空間にアクセントを与えてくれます。また、背もたれの適度なしなりと、座面のカーブがその座り心地を実現しており、長時間座っても疲れにくい仕様になっています。 座面は7枚の薄板と2枚の仕上げ板の9枚の積層合板で構成されています。外側を仕上げ板で挟み、3枚目を横目、中央は縦目使いにして、これらを圧着するという高度な技術を要します。フリッツ・ハンセンの高い技術力によって、美しさと座り心地の良さを兼ね備えたグランプリチェアが生まれるのです。
こちらは、木目が見えなくなるまで塗装を塗り重ねた「ラッカー」仕様で、艶のある仕上がりです。使うたびに光沢が増し、特徴的なフォルムを引き立てます。
2020年、グランプリチェアのカラーがリニューアルされました。
デザインキュレーターでありギャラリストのCarla Sozzani (カルラ・ソッツァーニ)とのコラボレーションによるもので、「A Sense of Color(色彩感覚)」をテーマに、全16色のラインナップとなりました。
柔らかい色合いのベージュやピンクから、深くシックなカラーリングのミッドナイトブルーやエヴァーグリーンなど、幅広いカラーバリエーションとなっています。 一見すると組合せに迷ってしまいそうですが、まとまりのあるカラーコレクションとなるよう全色少しレッドを加えており、どんな色の組み合わせでも調和の取れるカラーとなっています。
脚部は「クローム」とメタリック粉体塗装仕上げによる「ウォームグラファイト」「ブラウンブロンズ」「シルバーグレー」の全4種類。より組み合わせの自由度が増したカラーの中からお気に入りの組み合わせを見つけてください。