コラム:ジャン・プルーヴェを知っていますか?/[すべて正規品]デザイナーズ家具・ブランド家具通販・北欧家具通販【H.L.D】 |
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コラム > ジャン・プルーヴェを知っていますか?
1930年代のフランスで、ル・コルビュジエやピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンと時代を同じく活躍していた《ジャン・プルーヴェ》。近年、家具業界のみならず、ファッション・アート・建築の分野でも注目を集めている人物ですが、意外にもプルーヴェに関する情報が少なくオリジナルとして残っている作品も少ないことから、未だ全貌を掴みきれない人物です。いったい、プルーヴェとはどんな人物だったのでしょうか。今回のコラムでは、当時の時代背景や交友関係を中心にまとめた相関図を通して、その断片を垣間見ていきたいと思います。
ジャン・プルーヴェは、フランスの建築生産の工業化に大きな役割を果たした建築家であり、家具デザイナーです。先進的な技術を組み合わせた”ハイテク建築”とよばれる多くの作品を世に送り出しています。またフランス東部の町・ナンシーの市長や大学の教授も務めたという多彩な経歴を持ち、晩年の1971年には、ポンピドゥーセンター(パリ)の国際設計コンペにおいて審査員長を担い、リチャード・ロジャースとレンゾ・ピアノによる案を一等に選出しました。
しかし、当の本人は自らをこう語っています。
「I'm not an architect; I'm not an engineer- I'm a factory man.
私は建築家でも技術者でもない。工人だ。」
自身のアトリエで図面を書き、必要とされる強度を得るため自ら試行し、常に素材と対話しながらモノづくりを行う姿は、頭脳を使う「建築家」でもなく、手を使う「技術者」でもなく、両者の性質を兼ね備えた「工人」であると言いたかったのでしょう。”合理的で無駄のない構造”を追求するプルーヴェのモノづくりへの姿勢と哲学が、数々の名作を生み出しています。
ヴィクトール・プルーヴェ
父ヴィクトール・プルーヴェは1858年ナンシー生まれ。アールヌーヴォーの全盛期だった当時、画家・彫刻家としてキャリアをスタートさせたヴィクトールは、エミール・ガレと親交が深く、ガレのモチーフデッサンを数多く手掛けた人物として知られています。その父が幼き息子に伝えたことは、植物の形態や親指の付き方が突然変異で一夜に生まれたものではないということでした。
プルーヴェの作品に共通してみられる一連の形には、父から教わったものの見方や考え方が強く反映され、必然性をもって生み出されています。
幼少の頃から芸術に触れる機会に恵まれ、父ヴィクトールの影響を受けながら、金工職人としてキャリアをスタートさせました。30歳で自身のアトリエを構えた1930年代前後は、バウハウスやル・コルビュジエらがモダンデザインを牽引していた時代です。マルト・スタム、マルセル・ブロイヤー、ミース・ファン・デル・ローエ、シャルロット・ぺリアンなど多くの建築家やデザイナーがトーネットの曲木に続き鉄パイプ製の家具を手掛け、デザイン界を盛り上げていました。
プルーヴェ自身もUAM(現代芸術家協会)に参加し、コルビュジエやペリアンとも親交が深かったのですが、彼にとって鉄パイプは興味の対象ではなかったのでしょう。同じ鉄という素材でも、自分の手で素材を折り曲げ、打ち出し、リブをつけ、溶接するといった研究に熱中していました。コルビュジエらと共にUAMを通してモダンデザインの追求をする一方で、自身の家具デザインに関しては独自の道を進んでいたようです。
当時の時代背景とプルーヴェの交友関係を相関図としてまとめました。
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代表作であるスタンダードチェアは、研究熱心なプルーヴェの手により幾重もの試作が重ねられました。その多くが金属と木材の組合せですが、戦時中に金属が不足していた期間は全て木材で作られたモデルもあります。 一連の研究は、1980年代発表の後脚がアルミニウム製のスタンダードチェアによって締めくくられました。 スタンダードチェアの歴史
フランスを旅した際に見つけたプルーヴェ作品。ギャラリー・パトリックセガン、ポンピドゥーセンター、ナンシー美術館などが所蔵している作品をご紹介します。アートコレクターにも愛されるプルーヴェ作品だけあり、どれも佇まいが美しく深い趣がありました。
1930年代、周囲が鉄パイプ製の家具デザインに夢中のなか、プルーヴェは独自の美的感覚を貫きました。鉄をあくまでも材料とみなし、自ら手を加えることで材料が持つ利点を最大限に活かそうとするその思考は父譲りであり、アールヌーヴォーの思想にも通づるところがあるのではないでしょうか。原理を知り、研究を重ね、執着心とも言える彼の熱心なものづくりの姿勢があったからこそ、スタンダードチェアが誕生し、一連の家具そして建築デザインへと発展していきました。
他に類を見ないプルーヴェ作品に世界が再び魅了され、今後も注目が集まるでしょう。
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